1.梯子型伝導体におけるスピンギャップ形成と圧力下超伝導発現機構の解明 平成8年の、秋光グループ(青山学院大)による高圧下での梯子型超伝導の発見は、銅酸化物高温超伝導発現機構解明へ向けての重要な手がかりとして脚光を浴びた。この現象に関し、摂動的繰り込み群法に基づく次元クロスオーバーのスケーリング理論の観点から、圧力下超伝導発現の説明に成功した。本研究で、本科学研究費研究課題に含まれる「低次元強相関電子系におけるスピンギャップ」と次元クロスオーバーの関係が明らかにされた。本研究結果は、レター論文としてJournal of Physical Society of Japanの1997年12月号に掲載された。議論の詳細を記述した本論文が、同誌1998年5月号に掲載決定済みである。また、「第9回多体理論の進展に関する国際会議(1997年7月シドニー、オーストラリア)」および「高圧力の科学と技術に関する国際会議(1997年8月京都市)」の二つの国際会議において本研究に関する発表を行い、プロシ-デイングスとして論文発表した。 2.擬1次元有機導体におけるモットギャップ形成と次元クロスオーバー 圧力下の磁気秩序相のクロスオーバーが大きな問題となっている。これに対し、擬1次元有機導体TMTTF、TMTSF塩におけるモット電荷ギャップ形成と次元クロスオーバーの関係を、摂動的繰り込み群法に基づくスケーリング理論で扱い、実験的に示唆されているスピン密度波状態間クロスオーバーを隔てるクロスオーバー境界が存在することを初めて示した。本研究の結果は、レター論文として現在Journal of Physical Society of Japanに投稿中である。
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