光ファイバーグレーティングにおける、ソリトン現象の理論的研究を行った。ファイバーグレーティングでは誘電率をファイバー方向に周期的に変化させることによって、人工的に分散性を生み出す事を可能にしている。実際、位相マスク法などによる作成法も確立している。さらにカー効果による3次非線形分極効果も仮定した。 結果として、ブロッホ波の両効果による変調が、非線形シュレディンガー方程式に従うことが明らかになった。これは従来からその存在が知られていた、ギャップソリトンの理論的根拠を与えるものである。これは波動論の立場から次の3つの点で、新しい観点を生み出している。 1.物質本来の分散性がなく、非線形性だけでのみソリトンが生成される。 2.搬送波は従来の単色波ではなくそれを拡張した、ブロッホ波である。 3.ブロッホ波をバンド下端に設定する事によって、できた電磁波は線形の議論では許されないギャップ(禁制帯)内にその振動数を有する。 簡単な例として、Kronig-Penny型のグレーティングを取り上げて、グレーティングソリトンをexplicitに表現する事ができた。さらに数値シミュレーションによりその存在と、安定性を証明する事ができた。また光ファイバー系以外にも、diatomic格子系においても同様の研究を行い、理論的にも数値的にもほぼ同様の結果を得ることができた。 さらに、ファイバーグレーティングの場合はバンド上端に波数を設定する事によって、ダ-クギャップソリトンの存在を予想した。これについては、今後数値シミュレーションによる確認が必要となる。
|