研究概要 |
噴火微動記録は噴火規模や推移を定量的に記述することに有効であり,その発生機構の解明は噴火過程の理解や噴火予知の実現に不可欠である.本研究は,世界各地で記録されている噴火微動の共通の特性を明らかにし,その発生過程を実験的に明らかにするものである.本年度は,主に,以下の3点を進めた. (1)噴火微動のデータベースの構築 : 過去の文献から24の噴火微動の最大振幅,継続時間を調べ,火山構造,マグマ特性,爆発指数,噴火継続時間などとともにデータベースを構築した. (2)噴火微動の特徴の抽出 : データベースの検討から,以下の特徴を明らかにした. (a)噴火微動の強度を表すReduced Displacementは噴出口面積にほぼ比例する. (b)微動の波動エネルギーと噴出物質の力学的エネルギーの比である地震波効率は,割れ目噴火の場合には10^<-2>〜10^<-4>,円形の噴出口からの噴火の場合10^<-2>〜10^<-4>と推定された. (c)噴火微動の振幅は時間的に次のように推移する. Stage I : 振幅の漸進的な増大 ; Stage II:最大振幅の維持 ; Stage III : 振幅の漸進的な減少. Stage Iを顕著に示す微動の多くは,一連の火山活動の中で最初の大噴火に伴われた.Stage IIIは約90%のイベントで確認された. (3)室内実験設備の構築 : 上述の観測された特徴を支配する物理則を明らかにするため,AEセンサー及び波形収録システムを購入し,微動の発生過程を模擬した室内実験システムの構築を行った. 以上の通り,噴火微動の特性を明らかにし,次年度から室内実験を開始する準備を終了した.
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