研究概要 |
観測された歪・傾斜変化をもとに地殻活動を定量的に把握するためには観測量と計器周囲の歪・傾斜変化が1対1に伝わっているかどうかを調べておくことは重要である(カップリングの推定).本年度は歪・傾斜潮汐を用いてこのカップリングの推定を行なう第1歩として観測値と予測値の比較を試みた.また,計器の安定性を検討するために潮汐振幅の時間変化を求めた. 相良観測点(SAGR)については1995年10月12日の観測開始から1997年8月31日までのデータを,伊東観測点(ITO),小田原観測点(ODW)についてはそれそれ1996年2月9日〜1996年5月31日,1997年3月4日〜1997年8月21日のデータを解析した.潮岬観測点(SNMS)については1995年6月〜1996年7月までの解析を行なった.解析は潮汐解析プログラムBAYTAP-G(Ishiguro et al.,1984)を用いて潮汐振幅・位相を求めた.また,各観測点について解析ウィンドウを3ヶ月とし,1ヶ月毎に解析ウィンドウをずらして振幅・位相の時間変化を求めた.一方,潮汐の予測値計算プログラムGOTIC(Sato and Hanada,1984)を用いて3km程度までの波長を持つ海岸線の影響を考慮した各成分の潮汐振幅・位相を求めた.特にITOの歪N98E成分(BSA2)は振幅・位相ともあってない.ITOは海岸線から100m以内に立地しているため,さらに詳細な海洋潮汐モデルあるいは海岸線のモデルの使用が必要である.SAGRにおけるM2分潮の振幅の時間変化については5成分とも平均振幅の1〜5%以内のばらつきに収まっており,安定して観測が行なわれている.他の観測点についても10%以内のばらつきであり,安定して観測が行なわれている.
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