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1997 年度 実績報告書

炭素同位体を用いた大気中メタンの循環の研究

研究課題

研究課題/領域番号 09740360
研究機関宮城教育大学

研究代表者

菅原 敏  宮城教育大学, 教育学部, 助手 (80282151)

キーワードメタン / 炭素同位体比
研究概要

今年度は、航空機を用いた対流圏メタンの炭素同位体比の観測に重点を置き、メタン炭素同位体比を高精度で測定するためのサンプリングフラスコ、および航空機に搭載するための簡便な小型試料大気採集装置の製作を完了した。採集した空気試料は、まずガスクロマトグラフによるメタン濃度の分析に使用し、残りの試料に含まれるメタンを酸化精製装置によって純粋な二酸化炭素に変換し、その炭素同位体比を質量分析計を用いて測定した。これらの手法により、メタン炭素同位体比を、±0.1‰の精度で分析することに成功した。これを用いて、温室効果気体の航空機観測に実績のある東北大学理学部と協力し、蔵王山頂、および仙台と東京上空の対流圏内高度0〜4kmにわたって試料空気の採集を実施した。その結果、蔵王でのメタン濃度が一般にバックグラウンドレベルと考えられる1820ppbv程度を示したのに対し、都内対流圏下部ではかなり高く、1900〜2100ppbvの値を示した。これと同時に測定されたメタン炭素同位体比は、蔵王において約-47.8‰であるのに対し、都内では-47.1‰〜-46.3‰であり、都内域においてメタン炭素同位体比が高い値を示すことが明らかになった。この事実は、都市域における高濃度が、炭素同位体比の高いメタンを放出する特性を持った放出源に起因していることを示唆している。一般に自然起源のメタンは嫌気性微生物の生体活動に伴って発生するため、その生化学的プロセスのために、放出されるメタンの炭素同位体比は-60‰〜-70‰程度と低い。これに比して、本研究で示唆された同位体比の高い放出源は、生化学的プロセスによるものとは考えにくく、自動車の排気ガスなどの熱的変成を起源とするメタン放出であると考えられる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] S.Aoki: "Vertical profiles of greenhouse gases over the Arctic" International Symposium on Atmospheric Chemistry and Future Global Environment. 241-243 (1997)

  • [文献書誌] S.Sugawara: "Vertical profile of the carbon isotopic ratio of stratospheric methane over Japan" Geophysical Research Letters. 24. 2989-2992 (1997)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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