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1998 年度 実績報告書

炭素同位体を用いた大気中メタンの循環の研究

研究課題

研究課題/領域番号 09740360
研究機関宮城教育大学

研究代表者

菅原 敏  宮城教育大学, 教育学部, 助手 (80282151)

キーワードメタン / 炭素同位体比
研究概要

2年目にあたる平成10年度には、平成9年度に完成した高精度大気中メタン炭素同位体比測定の技術を生かし、主に成層圏メタンの炭素同位体比の観測に重点を置き、以下のことを明らかにした。宇宙科学研究所と東北大学とによって継続されている、大気球を用いた日本上空の成層圏の空気採集実験に参加し、その空気試料からメタン炭素同位体比を測定した。これまでの気球実験において保存されていた、94、95、97年の試料を用い、高度35km付近までのメタン炭素同位体比の鉛直プロファイルが得られた。対流圏界面付近ではおよそ-47パーミルであるメタン炭素同位体比は、20〜25kmの高度で急激に増加する。25〜35kmにかけてはやや緩やかな増加を示し、高度35km付近では約-36〜-39パーミルという高い値を示した。このようなメタン炭素同位体比の増加は、成層圏内でのメタン消滅過程において強い同位体分別効果が生じていることを示している。また年による鉛直プロファイルの相違は、メタン濃度のそれと逆相関の良い対応が見られた。すなわちメタン炭素同位体比の鉛直プロファイルの相違は、主に成層圏でのメタンの消滅反応の強弱によって生じているものと考えられる。さらに国立極地研究所と共同し、1998年3月に航空機による北極域成層圏下部の広域観測も実施した。その結果、水平方向の空間分布でもメタン濃度と炭素同位体比の間には明瞭な負の相関があり、光化学反応によって消滅する際に同位体分別が起きていることが示された。北極上空成層圏下部で得られたメタン濃度と炭素同位体比の両者の関係から推定される見かけの同位体分別係数は1.013(±0.003)であり、このことから、成層圏メタン消滅の12〜17%が、塩素ラジカルとの反応消滅によるものと推定された。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Shiobara,M.,et al.: "An overview and preliminary results from the Arofic measurement program 1998" Polar Meteorol.Glaciol.(in press). (1999)

  • [文献書誌] 菅原 敏 他: "北極成層圏下部におけるメタンと二酸化炭素の同位体観測" 日本気象学会1999年春季大会予稿集. 75(印刷中). (1999)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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