研究概要 |
本研究は,1)オリビンの6GPaから15GPaの静水圧力下での塑性特性の観察,2)珪酸塩ガ-ネットの5GPaから15GPaの静水圧力下での塑性特性の観察,3)大型放射光施設での珪酸塩ガ-ネットの変形実験という3つのテーマから構成されている.本年度のテーマ2)と3)の研究を行った.得られた結果を以下にまとめる. テーマ2) マルチアンビン型高圧発生装置を利用して,6.5GPaという高封圧状態で,単結晶珪酸塩ガ-ネット(Py20A173Sp2Gr5)の塑性変形実験を行った.温度条件は700-1440℃とした。回収試料は透過型電子顕微鏡を用いて転位構造の観察を行った.転位のバーガーズベクトルは高角収束電子回折法を用いて決定した.その結果,1000℃以下の温度では,試料は,脆性的に変形したが,1000℃以上では,変形は転位クリープによって進行した.全温度領域での卓越するバーガーズベクトルは1/2<111>と<100>であり,転位は拡張していることが分かった.この転位芯の拡張は,転位の移動に対する障害(パイエルスポテンシャル)を大きくし,1000℃以下での,脆性変形の原因となっていると,考えられる. この結果は,既に,Physics of the Earth and Planetary Interiorに投稿中である. テーマ3) Py100,Py50Mj50,Py23A148Gr28Spl,Py68A118Gr14Splの4種類の多結晶珪酸塩ガ-ネットの変形実験を大型放射光施設(Brookhaven]National Lab.in USA)において,マルチアンビル型高圧発生装置を利用し,6GPa,9GPa,10GPaの高封圧状態,室温から860℃までの温度で行った.その結果,高圧条件で室温から高温状態において,パイロープ組成とメ-ジャライト組成に富むほど塑性強度が増大することが分かった.
|