研究概要 |
本研究の目的は,(1)大量のデータが解析可能なGISの構築,(2)地滑りに関する種々の分野での知識と経験等から得られた判断基準の整理・統合,(3)多次元の判断基準に基づく予測モデルの作成である. 本年度はシステムの構築とデータの収集・登録を主に行なった.なお,テスト地域として地滑りの多発地帯でかつ詳細な各種情報が報告されている新潟県小千谷地域を選定した.システムとしてオンラインGISを開発・構築した.オンラインGISは空間データの収集・共有,可視化・解析がインターネットを用いてできるシステムであり,フィールドからデータの追加・更新あるいはモデリングなどがリアルタイムにできる. データの収集・登録は次のことを主に行なった.(1)地滑りや災害アセスメント手法に関連した文献を集めた.(2)DEM(デジタル標高モデル),デジタル化した地質図,地滑り分布図をGISデータベースに入力し統合した.(3)地質図上の地質構造のデータ(走向・傾斜)をデジタル化した.(4)地質境界面を塩野他のアルゴリズムを用いて補間・作成し,3次元地質モデルの構築を試みた.(5)研究対象地域のリモートセンシング画像を入手した.この中で(3)(4)の結果から,GISのフレームワークの中で地下地質構造データを3次元的に表現することが可能であることがわかった.このことにより地滑り災害の予測モデルの中に地質の詳細な情報を反映できる可能性が見出せた.以上から,次年度にこれらのシステムおよび情報をもとに行なう予定である多次元の判断基準による地滑り災害ハザードポテンシャル統計モデルの作成のための基礎ができたと考える. なお,システム開発の詳細および初歩的なデータベースの構築に関しては,国内および国外における国際的なコンファレンスで発表した.
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