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1998 年度 実績報告書

マントルでのクラック発生機構とメルト分離メカニズムの解析

研究課題

研究課題/領域番号 09740390
研究機関千葉大学

研究代表者

高橋 奈津子  千葉大学, 理学部, 助手 (50261897)

キーワードマントル / クラック / メルト分離 / ニカンベツ岩体
研究概要

岩石中に記録として残されているマントルでの平衡圧力条件が2〜1GPaで,平衡温度が1100℃〜1170℃以上であったニカンベツ岩体は,岩体南西部から北東〜北端部に向かって始源的マントル物質の全岩化学組成を有するレールゾライト中でのメルト発生率が4%〜10%に上昇する。メルト分離は小規模クラック周辺部で効果的に認められ,これらの小規模クラックは薄い板状の形態を呈し,厚さ数cm,伸長方向に数m以上追跡でき,厚さ数m〜数100mの領域に集中する。岩体内ではこの領域は層準を異にして複数存在する。一方,厚さ30cmにまで成長したクラックは,現在ガブロ岩脈として凍結されている。ガブロ岩脈の周辺部は数cm〜数10cmの規模でメルト成分に乏しいレールゾライト〜ハルツバージャイトが分布する。ガブロ岩脈は単独で出現することはまれで,多くは複数のガブロ岩脈からなる岩脈群として出現している。このガブロ岩脈群と小規模クラックが集中する領域とは層準が異なり,両者は独立に存在することがわかった。XRFによる全岩化学組成分析結果より,小規模クラックが集中する領域内のクラックから10〜15cm離れたレールゾライトと領域外のレールゾライトでは全岩化学組成には顕著な違いがないことが判明した。また,ニカンベツ岩体に出現するガブロはレールゾライトが部分溶融した分離メルトがほとんど結晶分化せずに凍結されたものであることが判明した。以上より,部分溶融したマントル物質のメルト分離メカニズムはクラックの発生によるクラック内への部分溶融メルトの吸い込みであったと考えられる。また,クラックの発生は母岩の化学組成差による物性の違いではなく歪みの集中によるものであろう。ガブロがほぼ分離メルトの化学組成を凍結していることから,ニカンベツ岩体は部分溶融した状態で下部地殻へ貫入し,急激に冷却されたものであると考えられる。

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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