ゲルマニウムは地球を構成する主成分である硅素と化学的な性質は類似し、珪酸塩の四面体の構造の中に入ると予想される。その意味で地球内部の様々なプロセスにおいて、主成分である硅素と挙動が似ると考えられると同時に、微量元素であるためにヘンリーの法則が成立し、分配の解析が比較的容易である、という稀な元素であると考えられる。本研究では、このゲルマニウムの挙動を、主に溶融実験を通して理解することを目的とする。 2年計画の初年度にあたる本年は、1気圧下におけるSiO_<2->MgO系における溶融実験を行ない、珪酸塩鉱物およびガラス中でのGeの定量方法を探ることによって、分配の大まかな挙動を捉えることを目的とした。ゲルマニウムは酸化物の形で系に添加されたが、溶融温度以下で気化するため、白金カプセルに封入して実験を行なった。また、ゲルマニウムの添加量が数百ppmである場合には、EPMAを用いて定量分析が可能であることが分かった。これらの予備実験に基づき、1気圧下での溶融実験を行なった。その結果、(1)ゲルマニウムはフォルステライトおよびエンスタタイトのいずれに対してもメルトにより分配され易いこと、(2)分配係数はこれまでに知られている熱力学的定式化と定数によって説明されうる値であること、が分かった。次年度はこれらの結果を踏まえながら、高圧下での溶融実験により、その挙動と熱力学的考察を進める予定である。
|