研究概要 |
櫻井標本を始めとする国立科学博物館所蔵の標本を中心に、ガンドルフィーカメラを用いて粉末X線回折データを収集し、試料を同定した。希土類炭酸塩鉱物としては、Donnayite-(Y),Synchysiete-(Ce),Cordylite-(Ce),Ewaldite,Parisite-(Ce),Kamotoite-(Y),Schuilingite-(Nd),Astrocyanite-(Ce)等を同定した。さらに、佐賀県東松浦郡肥前町のKimuraite-(Y)の原産地から採集した標本をより詳細に検討したところ、Kimuraite-(Y)、Lanthanite-(Nd)に加えて、Ancylite-(Ce)およびCalcioancylite-(Ce)類縁鉱物を新たに見いだした。以上の希土類炭酸塩鉱物に加えて、炭酸塩以外の希土類鉱物として、Churchite-(Y),Th含有Agardite-(Y)類縁未知鉱物、Uraninite等が同定された。また、ガンドルフィーカメラを使う手法を応用して、日本新産鉱物である鉛と銅の硫酸鉛鉱物のElyiteの同定と単結晶の選抜を行った。本鉱物は極めて微細な結晶が微量採集されたに留まったため、本手法が極めて有効であった。 一方、蟻酸を用いた水熱合成法により、イットリウムとガドリニウム炭酸塩の合成を行い、Tengerite-(Y)に相当する合成物とこれまでに報告例の無い新たな希土類炭酸塩の単結晶を得た。これらから選び出した単結晶を用いて四軸自動回折計により結晶構造解析に必要な単結晶回折データを収集することができた。
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