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本研究の目的は、気相中の電子励起分子の解離反応に対する磁場効果を解明することである。本年度は本研究遂行に必要な実験装置の開発と予備実験を行った。解離反応の機構を解明するためには、解離反応の始状態と終状態を正確に把握することが必要不可欠であるので、レーザー分光法を用いた実験が最適である。そこで、外部磁場下、低圧気相中の孤立分子を第一のレーザーで励起することにより解離反応を引き起こし、その解離生成物を第二のレーザーで励起しそれに伴う発光を観測するというポンプ・プローブ法(レーザー分光法の一種)による実験を計画し、そのための実験装置を開発した。また、前期解離などによる解離生成物は多くの場合多重項であるので、解離生成物の発光にゼーマン効果の影響が現れることが予想される。そこで予備実験として、解離生成する原子や分子自身の発光に対するゼーマン効果をあらかじめ測定し、ゼーマン効果のシミュレーションからその補正項を見積もる必要がある。このためには、マイクロ波放電を用いた化学反応により高濃度の解離生成物を発生させねばならない。そこで実験装置はマイクロ波放電反応にも利用できるような他目的型のものを開発した。この実験装置を用いて予備実験として、二酸化硫黄の第三電子励起状態からの前期解離による解離生成物である一酸化硫黄を高濃度で発生させ、ゼーマン効果の測定を行うことに成功した。そして更に、ゼーマン効果のシミュレーションからその補正項を見積もることに成功した。
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