パラジウム触媒存在下、ビニルスズ誘導体がプロ求核剤と反応し、付加二量化体を与えることを見出した。この反応は、その反応様式および機構の点から見て従来にない、全く新しいものである。次に、アレン誘導体のヒドロアミノ化反応について検討した。アミン誘導体として、トシルヒドラジンを用いたところ、アリルスルホンが収率良く得られることが分かった。この反応は、ヒドロアミノ化に続いて脱窒素が起こるものであり、機構的にも興味深いものである。共役エンインのヒドロアミノ化反応では、まず、アレニルアミンが生成した後、さらにもう一分子のアミンが付加し、ジアミンを与えることが分かった。次にこれらの反応を分子内反応に応用し、アレニルアミン誘導体の反応について検討した。その結果、パラジウム触媒による分子内ヒドロアミノ化反応が酢酸の存在下で効率よく進行することを見出した。この反応は、ピロリジンおよびピペリジン誘導体の効率よい合成法として、様々な応用が期待できる。
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