土壌から分散染料除去能を有するCunninghamella polymorphaを分離した。C.polymorphaは、17種類の分散染料を5日間で平均93%除去した。さらに100-300ppmのC.I.Disperse blue 60(以下DB-60)を約3日後にほぼ完全に除去し、400および500ppmのDB-60を約90%除去した。菌体破砕物中の染料濃度の変化が認められなかったことから、本菌は分散染料を分解ではなく収着によって除去していることが明らかとなった。 使用済み分散染料を含む工場排水処理を本菌を用いて行った結果、休止菌体を用いた場合、透視度は6時間で21度から43度まで増加した。その浄化(透視度増加)速度は、1.7度(g-乾燥菌体重量)^<-1>h^<-1>であった。 更に、本菌は分散染料を分散させるために使用されているタモール系分散剤の分解能を有することが認められた。その分解は、48時間まで直線的に進行し、96時間後には92%(0.55gL^<-1>)の分散剤を分解した。その分解初期速度は、2.71×10^<-3>gL^<-1>(g-乾燥菌体重量)^<-1>h^<-1>であった。 本課題研究において、我々は、C.polymorphaが高濃度の分散染料を高効率で収着除去を行うとともに、タモール系分散剤(陰イオン界面活性剤)を分解することを明らかにした。得られた知見は、これまでに全く報告例がなく、学術的に極めて新規性が高く、今後工業的応用が期待できる。
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