本研究では、固体表面における光化学反応機構の解明と新たな反応の発見を目指して、光反応を誘起するための光源と超音速分子線を用いた測定手法を開発することを目標としている。測定対象としては実用的な触媒反応の素過程である単結晶表面における2種分子間反応を扱う。 平成9年度においては真空装置や測定系の調製、試料や光源などの購入、CO酸化反応の試験的実験を行う予定であった。真空装置および測定系については既存の超音速分子線作製装置等を用いる。超音速分子線作製装置は基本的には、約1気圧の気体を封入した容器と真空槽の間に小さな穴を開けたもので、使用する気体をHeなどの軽い気体に混合することにより1eV程度まで加速することができる。使用するスリット、排気系、分子線軸などの調製などが重要であるが、ほぼ完了することができた。照射光として可視光から紫外光の波長を持つ光を利用する予定であったので、集光鏡付きのXeランプを購入した。単結晶試料についても購入済みである。 試料への光照射の軸調製などを除いてほぼ装置の面では実験を行うことのできる段階となった。平成10年度においては、Ptなどの金属単結晶表面に光照射した状態でCOやO_2などのガスを超音速分子線として試料に照射することにより起る反応について実験を行いたい。また、化学反応の結果表面に生成した分子種については既存の測定装置である赤外分光計で、表面から離脱してきた分子については質量分析計で検出する。
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