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1998 年度 実績報告書

分子性磁性体の低温加圧下における精密磁気測定とその特異な加圧効果の解明

研究課題

研究課題/領域番号 09740535
研究機関岡崎国立共同研究機構

研究代表者

細越 裕子  岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (50290903)

キーワード分子磁性体 / 加圧効果 / 磁気測定 / 有機ラジカル / 交互一次元鎖 / 均一一次元鎖 / 比熱測定 / 構造転移
研究概要

本研究課題により作成した磁気測定用TiCu合金製小型クランプ式圧力セルを用いて、下記の測定を行った。F_5PNNについて、加圧下の磁気測定を常圧〜7kbarの範囲で連続的に行い、交互比αが0.4から1へ連続的に変化することを見いだした。加圧するにつれ、常磁性成分の増大がみられた。圧を抜くことにより、常磁性成分は再び減少したことから、加圧による結晶の破壊は起きていないと思われる。一次元鎖が途中で切れた鎖端の効果によるものと思われる。一方、加圧下の比熱測定を行い、連続的な交互比の圧力変化を観測した。比熱測定は、鎖端の影響を受けないため、磁気相互作用のより正確な見積もりが期待できる。磁化率と比熱の結果はほぼ同様の圧依存性を示した。J値の変化は小さく、加圧に従いαが増大し、6kbarの加圧でほぼ完全にα=1の均一な一次元鎖になることを明らかにできた。この物質の常圧における構造転移はスピンバイエルス的であるが、通常のスピンバイエルス転移ではα=0に転移するのに対し、F_5PNNはα=0.4に落ち着くという特殊性を持っている。今回、加圧に伴うα値の連続的な変化を観測したことは、この物質の特殊性をより鮮明に浮き上がらせる結果となった。今後も、磁気共鳴の実験などによって、引き続き構造転移の機構解明に努めたいと考えている。申請課題については、以上のうな成果を収め、比熱の結果はSolid StateCommunicationに投稿中であり、加圧効果全体についてはPhysical Review Bに投稿準備中である。上記の申請課題実験を行う一方で、今後の発展として、加圧によって積極的に構造変化を起こす系の開拓を行った。その結果、有機ビラジカル、F_2PNNNO,有機ラジカルのMn錯体について、加圧による一次元鎖間相互作用の符号の変化を観測し、この結果は現在印刷中である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Yuko Hosokoshi: "Magnetic properties of pure galvinoxyl under pressure.Suppression of the structural change and observation of the magnetic ordering" Review of High Pressure Science and Technology. 7. 620-622 (1998)

  • [文献書誌] Yuko Hosokoshi: "Pressure effects on organic radicals with ferromagnetic and antiferromagnetic interactions" Synthetic Metals. (印刷中).

  • [文献書誌] Yuko Hosokoshi: "Pressure effects on Mn complexes of bisaminoxyl radicals" Molecular Crystals and Liquid Crystals. (印刷中).

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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