• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1998 年度 実績報告書

光誘起系逆電子移動プロセスを利用したトリメチレンメタンとオキシアリルの新規発生法

研究課題

研究課題/領域番号 09740536
研究機関東北大学

研究代表者

池田 浩  東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30211717)

キーワード光誘起電子移動反応 / 逆電子移動 / トリメチレンメタン / カチオンラジカル / ビラジカル / レーザー分光法 / ESR法 / オキシアリル
研究概要

昨年度に引き続き,本研究では次の二つの課題について研究を行った.
課題(I):2,2-ジアリール-1-メチレンスピロペンタン(1)の光誘起電子移動による骨格転位
本課題については昨年度にその大半を終了し,「カチオンラジカル開裂-ビラジカル環化機構」が,2-アリール-1-メチレンシクロプロパン類の電子移動によるメチレンシクロプロパン転位の一般的な機構であることが明らかになった.本研究で最も重要なのは,逆電子移動反応がカチオンラジカルをビラジカルに変換する鍵となる過程でありことで,レーザー分光法やESR法で直接確認された.そこで,本年度はその成果のとりまとめを中心に行い,本課題で2件(次頁,「11.研究発表」の雑誌論文の第2件目及び図書),反応機構上関連する研究で2件の成果発表を行った.
また,関連研究として基質1の構造異性体である3,3-ジアリール-1-メチレンスピロペンタンを新たに合成し,その光誘起電子移動反応を検討したところ,1,3-ジメチレンシクロブタン類への新規転位反応を見いだした.これらの結果は当初予想したトリメチレンメタン(TMM)型カチオンラジカルのみならず,広く有機カチオンラジカルの反応性を理解する上で重要な知見となった.今後,物理化学的手法も用いた新たな展開が期待される.
課題(II):3,5-ジフェニル-1-ピラゾリン-4-オン(4)の光誘起電子移動反応による脱窒素反応
本課題については,昨年度に基質(4)の合成研究を行い,後は最終段階の大量合成を残すのみであった.しかし,残念ながら最終的には4の大量合成には至らなかった.そこで,対象基質を環状ジエノンに転じ,その合成と直接光照射反応の検討を行った.その結果,期待するオキシアリルを経由する反応を確認した.現在は物理化学的手法が適用できるよう分子設計した他の誘導体の合成を行っており,今後の新たな展開が期待される.

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] H.Ikeda and T.Miyashi,et al.: "Photoinduced Electron-Transfer Degenerate Cope Rearrangement of 2,5-Diaryl-1,5-hexadienes: A Cation Radical Cyclization-Diradical Cleavage Mechanism" J.Am.Chem.Soc.120・1. 87-95 (1998)

  • [文献書誌] H.Ikeda and T.Miyashi,et al.: "Direct Observation of Two Different Types of TMM Intermediates in the Photoinduced Electron-Transfer Degenerate Methylenecyclopropane Rearrangement" J.Am.Chem.Soc.120・23. 5832-5833 (1998)

  • [文献書誌] H.Ikeda and T.Miyashi,et al.: "Photoinduced Electron-Transfer Cope Rearrangements of 3,6-Diaryl-2,6-octadienes and 2,5-Diaryl-3,4-dimethyl-1,5-hexadienes: Stereospecificity and an Unexpected Formation of the Bicyclo[2.2.0]hexane Derivatives" J.Org.Chem.64・5. 1640-1649 (1999)

  • [文献書誌] T.Miyashi,H.Ikeda,Y.Takahashi,and K.Akiyama: "Advances in Electron Transfer Chemistry,vol.6.(Photoinduced Electron-transfer Reactions of Cyclopropane Derivatives)" JAI press, 印刷中 (1999)

URL: 

公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi