1. ゾルゲル化合物中の2量体(dimer)およびエキシマーの生成条件 (第74春季年会、分子構造総合討論会(1998)、XVII IUPAC Symposium on Photochemistryで発表済)。 9-アミノアクリジン塩酸塩は、溶液中、高濃度条件下において基底状態でdimerを形成し、dimerの励起一重項状態から熱過程でexcimerを形成することが知られている。しかし、dimerの吸収スペクトル、蛍光スペクトルはまだ、分離同定されていない。そこで、水溶液中での濃度変化実験から平衡定数をpK=-2.38と見積もり、この値を使って初めてmonomerとdimerのスペクトルの分離を行うことができた。さらに、この反応系をゾル-ゲル溶液中でdip-coating法を用いて試料を作成し、蛍光スペクトルおよび吸収スペクトルの観測を行った。ゾル-ゲル反応開始直後では水溶液中のexcimer蛍光とほぼ同じ発光が観測されたが、5分後ではピーク波長が50nm短波長ヘシフトし、10分後以降は480nmをピークとするdimer発光力増はりされた。Monomer発光は観測されなかった。吸収スペクトルでは0.5分で4nm長波長シフトスペクトルが観測された。これらの結果は、ゾル-ゲル反応が進行するにつれてシロキサン鎖が形成されて粘性が増加するため、dimerからexcimerへの変化が起こりにくくなったためと思われる。 2. 吸収スペクトルによるかご効果の研究 ミセルのかご効果を研究するために種々の有機分子(ピレン、10-メチルフェノチアジン)をプローブとして用い、アルコール添加の影響を吸収スペクトルを使って比較検討した。1-プロパノールが3%まで臨界ミセル濃度を示すことから、かなり高濃度のアルコール存在下でミセル効果があることが示唆された。
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