研究概要 |
これまでの化学センサは原理的に妨害物質を除去することができず,物理的・化学的処理により軽減する研究が行なわれてきた。本研究では,妨害物質共存の信号をそのまま活用し,信号処理から特定物質を定量的に検出するシステムの開発を行なった。 まず,信号から高次元の情報を抽出するため,システムのダイナミクスを利用して化学種の遣いを増幅させた。具体的には入力信号の変動の周期,領域を多様に変化させるシステムを作製・実験し,フーリエ変換による信号解析を行なったところ,3次元相図から化学種を判別することが可能になった。また,理論的考察として,表面反応のダイナミクスと応答信号の関係を物理化学パラメータからシミュレーションすることができた。 またこのシステムの発展として,化学センサを能動型にするモデル実験も行なった。具体的には,センサに,自己修復・自己管理機能を持たせるために,非平衡度をシステムにたくわえるモデル実験を行なったところ,外部条件に多様に応答することがわかった。 化学種のセンサ表面での応答の理論的考案として,半導体表面にガス種を吸着させたモデル計算を分子軌道法を用いて現在計算中である。 その他,濃度の飽和特性,競争反応の影響についても実際の系を想定した実験を行ない,非線形の指標として有意な情報として導入した。
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