研究概要 |
本研究では、測定系が本来有する非線形特性を化学分析の指標として活用した新規な化学分析法を開発することを目的とした。 1) 複数ガスセンサの非線形応答の特異性を指標とする混合ガス分析 これまで単一のセンサで、複数のガス種を定性・定量することに成功したが、複数のガス種を判別するには課題を残していた。そこで異なるセンサの組み合わせにより、ガス種の非線形性を増幅するシステムを開発した。(S.Nakata et al.,Appl.Surf.Sci.,135(1998)285-292.) 2) ガスセンサの温度依存性を利用した非線形応答の増幅 ガス種間の応答の違いを増幅するために、周期的センサ温度走査領域と周波数を変化させたところ、ガス種に依存した特異的応答が得られた。これにより、これまでの非線形応答の情報′次元を増幅させることが可能になった。(S.Nakata et al.,Anal.Chim.Acta,361(1998)93-100.) 3) 非線形応答の理論的解明 1)と2)の実験結果の要因を物理化学的に解明するために、反応速度論とセンサの半導体特性に基づく計算機シミュレーションを行った。ガスセンサの特異性については、半導体特性を変化させることにより再現することに成功した。また温度走査領域変化についても、活性化エネルギー等の物理化学パラメータと関連させて議論した。 4) 非線形を指標とした化学分析法の応用 非線形型化学センサにおいて自己リセットする機能を持たせるために、自発運動のモードスイッチングに関する研究を行った。 (S.Nakata et al.,Faraday Trans.,94(1998)3655-3658.) また本測定法をグルコースセンサに応用したところ、グルコースと妨害物質を判別することに成功した。 (S.Nakata et al.,Anal.Chem.,70(1998)7304-4308.)
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