活性酸素の問題、特に脂質過酸化の機構を解明するうえで、リポソームはよいモデル系となることが知られている。そこで本研究では、還元性電解水(陰極液)の活性酸素消去効果の評価、リポソーム脂質過酸化に対する陰極液の影響評価、還元作用の膜透過性検討の3つを目的としている。本年度は、昨年度の成果に基づいてさらに研究を進めた。 1. 陰極液の活性酸素消去効果 CLA化学発光法により、in vitroで活性酸素消去作用の有無を検討したところ、通常の電解条件で得られる陰極液では活性酸素に対する効果は見られなかったが、非常に高い電解電圧(40-60V)で生成した陰極液で強い消去効果を確認した。対照実験により、この効果はアルカリ性や溶存水素ガス、混入チタンによるものではないことが判明した(投稿準備中)。これらの結果は九州大学白畑らの結果と一致する。 2. 今後の研究展開 現在種々の電解条件下でICP-MS成分分析と活性酸素消去の検討を続けており、in vitroでの還元性の有無と主因を特定する予定である。さらに、リポソーム溶液を調製し、陰極液存在下で脂質過酸化をモニターしてその影響を定量的に検討し、リポソーム細胞モデルにおける活性酸素消去作用の有無、及び活性成分を決定する計画である。
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