1997年度は、本研究課題に沿って以下のような研究を行った。 1)北海道西南部の河川において、陸上生無脊椎動物の河川への落下量、河川の底生無脊椎動物および、流下無脊椎などといったアメマスおよびオショロコマの餌資源を年間にわたってサーベイした。この結果、これら餌資源の総量は、盛夏期および厳冬期に著しく減少することが明らかとなった。 2)上記の調査とあわせ、同時期にアメマスとオショロコマの胃内容物を吐き戻し法によって調査した。餌の組成については現在分析中であるが、餌資源の減少する盛夏期には両種間で組成の重複度が小さくなる傾向が認められた。 3)北海道各地で採集された、両種個体の採餌関連器官の計測を行い、得られた形態特性と胃内容物組成の相関を分析した。各個体の形態変異は、ある特定の餌と関連しており、とくにオショロコマは下顎長の短い個体はユスリカ幼虫やヨコエビ類などの底性動物を多く利用していることが明らかとなった。 4)河川に設けたエンクロージャー内において、両種の干渉行動と採餌行動に関する観察を行った。その結果、個体の攻撃性と採餌モードには相関がみられることが明らかとなった。 現在、これらのデーターを分析するとともに、1998年度の実験準備を行っている。
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