1 東京都立大学内の実験圃場において50x50cmのコドラートを30枠設定し、枠内より自然に発芽してくる実生の内、毎週最大60個体をランダムに選んで標識した。標識個体のうち、ナズナ(Capsella bursa-pastris)とホトケノザ(Lamium amplexicaule)において統計的解析に耐え得るだけの十分数の発芽・定着個体が得られた。これらの標識個体は現在その生存と成長を追跡中であり、1998年4から5月の個体の成熟時に全て掘り採り、種子生産量・繁殖投資・成熟サイズ・成熟エイジを個体別に測定する予定である。ロゼット成長を行い生育期の最後に花茎を伸長して繁殖するナズナとほとんどの葉腋に花を付けるホトケノザとでは、対照的な繁殖投資のエイジ依存性が観察されると予測している。 2 写真撮影によるイメージ画像を用いた個体ザイズの変化の解析は、1の調査区のような自然雑草群落においては、個体間の葉群の重なりが正確なサイズ変化の推定を難しくした。今後は個体密度を実験的に低下させた個体群を用いて解析を行う。 3 野外に出現したナズナの実生各60個体を10月初旬から2週間おきに3回(計180個体)を温室内の富栄養・低栄養の土壌を入れた鉢に移植した。これらの個体は成熟時に、繁殖投資・成熟エイジ・成長率の相互関係を解析する。
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