研究概要 |
不定根形成に関する温度感受性突然変異体を単離するために、EMSで突然変異を誘発したシロイヌナズナのM2世代において一次スクリーニングを行った。本年度は約4,000個体について調査し、発根誘導培地で培養したときに22℃では胚軸断片からの不定根形成が認められず、28℃では不定根が形成されたもの、522個体を候補株として選抜した。現在次世代の植物体を用いた二次スクリーニングを進めているが、これまでの結果から計算すると30種類以上の温度感受性突然変異体の単離が見込まれ、不定根形成機構の解析に大いに役立つものと期待される。 アグロバクテリウムのバイナリーベクター上、T-DNA領域に野生型シロイヌナズナのゲノム断片を組み込み、形質転換用ゲノムライブラリーを作成した。挿入断片長は平均7.3kbp、規模は独立クローン80,000相当であった。これを許容温度下でsrd2変異体(脱分化、根の発達、シュートの形成が温度感受性を示す変異体)の胚軸外植物片約10,000個に無作為に導入して、制限温度下で不定根形成を誘導したところ、温度感受性を示さなくなったカルスが1つ見出された。このカルスからの野生型ゲノム断片の回収にはまだ成功していないが、これらの試行実験により、温度感受性変異体を利用した植物遺伝子のショットガンクローニングの可能性を示すことができた。
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