研究概要 |
鹿児島県尾久島においてヤクシマダイモンジソウおよびホソバハグマ・キッコウハグマには葉型にしたがったすみわけが見られる。ヤクシマダイモンジソウは渓流沿いに細葉型と広葉型の個体が同所的に生息しているため、大雨の直後に観察を行うことで被害の差を葉型別に比較することが可能である。本年度は、ヤクスギランド・つつじ河原および荒川ダム周辺でヤクシマダイモンジソウの葉形情報を含む詳しいマップを作成した。 また、これらの植物群について、その狭葉化を支配する遺伝子数を推定する目的で古典遺伝学的解析を行っている。その結果、ヤクシマダイモンジソウでは細葉型が一つの優性遺伝子の支配されていること、一方、アイノコハグマの子孫は連続的な葉型の分離を示し、こちらは複数の遺伝子が狭葉化を支配しているという結果が得られている。 ホソバハグマ群については、複数の遺伝子で細葉が支配されているので、いったいいくつの遺伝子が関与しているのか、そして各々の遺伝子の細葉に対する効果はどのくらいあるのかを知る必要がある。また、ヤクシマダイモンジソウについては一遺伝子支配であるらしいことがわかったので、その遺伝子に近傍に分子遺伝学的マーカーを見出して,遺伝子を分子遺伝学的に特定したい。いずれの植物群についても、まずそのためには詳細な遺伝子マップを作成する必要がある。現在では、AFLPと呼ばれるほうほうが、この遺伝子マップを作成するためのマーカーとしては優れていることが示されている。 今年度は、ABI社製377型DNAシーケンサーと専用のキットを用いてAFLP解析を行うべく、予備実験を行った。いずれの植物群についても複数の多型バンドを検出できることがわかった。
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