新世界ザル12種及び原猿類4種の血液あるいは凍結組織片を京都大学霊長類研究所より入手し、DNAを抽出した。種の内訳は次の通りである。新世界ザル:ケナガクモザル(Ateles belzebuth)、チュウベイクモザル(Ateles geoffroy)、フサオマキザル(Cebus apella)、リスザル(Saimiri sciureus)、ヨザル(Aotus trivigatus)、ダスキーティティ(Callicebus moloch)、ワタボウシタマリン(Saguinus oedipus)、シロクチタマリン(Saguinus labiatus)、アカテタマリン(Saguinus midas)、セマダラタマリン(Saguinus fuscicollis)、コモンマーモセット(Callithrix jacchus)、クロミミマ-モセット(Callithrix penicillata)。原猿類:ワオキツネザル(Lemur catta)、エリマキキツネザル(Verecia variegatta)、オオギャラゴ(Galago crassicaudatus)、ショウギャラゴ(Galago senegalensis)。ヒトの赤視物質遺伝子とのサザンハイブリダイゼーションの結果フサオマキザル、ヨザル、コモンマーモセット、オオギャラゴそしてショウギャラゴは複数の赤視物質遺伝子座位をもつことを示唆した。これは従来の霊長類色覚の定説とは相容れない結果である。現在これらの種のゲノムライブラリーを作成中であり、より詳細な遺伝子の解析を展開する予定である。一方、非霊長類型高度色覚の代表としてのハトに関しては、全ての視物質遺伝子の塩基配列を決定した。
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