研究概要 |
前年度はZnSe/MgS超格子井戸層の界面揺らぎによる自然量子井戸箱の作製と,自己組織化によるCdSe,ZnSe量子井戸箱の作製が可能であることを示した。本年度はさらにナノメートルスケールの微細加工技術の開発を行い,選択成長法による量子井戸箱の作製を行った。原子間力顕微鏡を用いたナノリソグラフィにより〜22nmのパターニングが可能であることを示し,それにより形成したマスクを用いて選択成長による量子井戸箱構造の作製が可能であることを示した。これらの手法を用いて量子井戸箱を作製することにより,高性能光デバイスの実現が期待できる。 また,高性能II-VI族半導体レーザを実現するためにはp型ZnSeの作製手法の確立が必要である。本研究では従来のドーピング法と異なるZnSe膜中にp型ZnTe:Li量子箱を埋め込む手法により,p型ZnSeの作製が可能であることを示した。ZnSe/ZnSによるブラッグ反射鏡の検討を行い,II-VI族半導体光微小共振器の形成が可能であることを示した。 一方,光集積回路を実現するには高性能受光素子の開発が必要である。長波長半導体受光素子の開発に向けて,新しい材料系のGaNAs混晶半導体の研究を行った。MOMBE法によるGaNAs成長過程を示した。GaNAsの巨大バンドボーイング特性やN組成の増加に伴うバンド端状態密度の増加現象などの,従来研究されてきたIII-V族混晶半導体と異なる特性を示した。
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