研究概要 |
本年度は,水酸化ニッケル単層ナノクラスター(Ni-MNC)について、その緩和現象について注目した。 ・磁化の時間変化残留磁化の時間変化から、そのviscosity(粘性)を求め、この系の磁化の量子メゾスコピックトンネル効果が現れる可能性を指摘した。 ・交流磁化率の周波数依存性特に、低周波でのダイナミクスをより詳細に解析するため、1,3,10,30,300,1kHzでの交流磁化率をSQUIDにより測定した。その結果、chi0^'の周波数依存性は、15K以下で顕著になること、および、chi0^"は、12K〜15Kの間で明瞭な周波数変化が見られることが明らかになった。この物質の常磁性緩和が、上記の温度範囲で生ずると思われる。 ・クラスター間相互作用さらに、クラスター間磁気相互作用を明らかにする目的で、クラスター濃度の異なる試料の直流磁化率を測定した。約16K以上では、両者の磁化率は一致しているのに対し、低温では転移温度に違いが見られ、Ni-MNC濃度、つまりクラスター間磁気相互作用の違いを反映していると思われる。 研究発表会 平成9年8月磁性物理学国際会議参加、発表(オーストラリア、ケアンズ) 平成9年10月日本物理学会秋の分科会参加、発表(神戸大学) 平成10年3月日本物理学会年会参加、発表予定
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