研究概要 |
平成9年度は、Si(111)表面上での三元貴金属吸着系の加熱挙動をLEED-AES-RBS法を用いて調べた。三元金属吸着試料は、Si(111)-√3×√3-(Au,Cu)およびSi(111)-√3×√3-(Au,Ag)表面に、室温にて異種金属のAgおよびCuをそれぞれ1原子層程度蒸着することにより作製した。これらの試料を100℃から700℃の範囲で焼鈍温度を除々に上げ各15分ずつ等時焼鈍、及び300℃での等温焼鈍を行った。各段階において、吸着原子の表面組成をAES法により、吸着原子の深さ方向の濃度分布をRBS法により、また、表面構造の周期性をLEED法を用いて測定した。これらの実験により、Si(111)表面における三元系吸着金属は、Si(111)-√3×√3-(Au,Ag,Cu)を形成することが判明した。また、一元、二元、三元貴金属吸着系での安定な表面構造と被覆率の関係をそれぞれ軸上、面上、および空間上に示すことにより、系統的な状態平衡図を作製した。また、Si(111)表面上での吸着金属のSTM(反応過程を走査トンネル顕微鏡)を用いてその場観察するため、除振台つきのSTM超高真空チェンバーにLEED-AES測定装置や作製した金属蒸着源などを設置した。現在、Si(111)7x7清浄表面の観察により、STMのtip(はり)作製条件について調べている。
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