本年度は次世代の高速ULSI用低誘電率層間絶縁膜材としてプラズマCVD法によるC(Si)-F系薄膜について検討した。C_4F_8高密度プラズマにおいて30001/Secの高速排気系を用いてガス滞在時間を100msecから1msecまで減少させるとCFx(x=1-3)ラジカル密度の再結合抑制のため1桁程度増大し、フロロカーボン成膜速度も対応して増加する。このとき膜中のF/C比は1.4に増加、比誘電率は2.3まで減少し、滞在時間により膜組成を広範囲に制御できることが分かった。プラズマ中にH_2を50%まで添加すると、滞在時間の短い条件では堆積速度が2倍程度上昇するが、膜中のF/C比が約0.5に減少するため、比誘電率は2.8程度まで上昇した。更に耐熱性向上を意図して基板温度を300℃まで上昇させると、堆積速度が大きく減少し、誘電損失δは減少するが比誘電率は3.3まで上昇する。これらは総じてF/C比が大きく(-CF_2-CF_2-)nの結合が多いときに誘電率は低くなる結果になった。金属配線、基板との付着力向上を意図して基板への高周波バイアス印加による界面組成制御技術を検討したが、膜のエッチングが問題となった。プラズマ中にテトラメチルシランを添加した場合には逆に基板へのバイアス印加時に堆積が促進されることが判明し、基板への高周波電力投入によるメチルラジカル生成に起因すると考えられた。しかし、この膜では金属材料との付着性の問題解決には至らなかった。次年度はC-C結合の一部をB-Nで置き換え耐熱性、付着性の改善を図る。
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