本研究により、レーザ発振しきい値以下で動作するマイクロキャビティ出射端光源は、空間的コヒーレント特性の制御が容易に可能な部分的コヒーレント1次光源であることが示された。すなわち、この光源の空間的コヒーレンス長は、共振器長および反射鏡の反射率が増大するに従って長くなる一方、これら共振器パラメータの値が減少するに従って短くなる。さらに、マイクロキャビティ出射端光源が遠方界に形成する光の場のスペクトルは、これら共振器パラメータの値が減少するに従って、特に光軸付近において光源スペクトルと比べて短波長側に大きく偏移することが示された。 また、部分的コヒーレント光源により非整数次フーリエ面において形成された光の場の平均強度分布およびスペクトルについて、フーリエ変換の次数依存性が示された。すなわち、平均強度分布の広がりは、焦点シフト量が大きい場合、フーリエ変換の次数が増大するに従って増大し、通常のフーリエ面において最大となる。一方、焦点シフト量が小さい場合、フーリエ変換の次数が増大するに従って減少し、通常のフーリエ面において最小となる。さらに、光軸におけるスペクトルは、フーリエ変換の次数が増大するに従って光源スペクトルと比べて短波長側に偏移し、通常のフーリエ面においてその偏移量は最大になる。特に、焦点シフト量が大きい場合、フーリエ変換の次数が増大するに従って急激に最大偏移量に近づく。 これらの成果により、部分的コヒーレント光非整数次フーリエ場の特性を利用した新たな光システム構築の可能性が示唆された。今後は、特に、光生体計測システムへの応用を目指す。
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