前年度に引き続き今年度は、部分的コヒーレント光源によって非整数次フーリエ面に形成された光の場(部分的コヒーレント光非整数次フーリエ場)の特性のうち、特に平均強度分布について考察を行った。部分的コヒーレント光非整数次フーリエ場の実現にはレンズが欠かせないが、前年度までの解析ではレンズ開口が生成された光の場に及ぼす影響について何ら考慮されてはおらず、極めて理想的な条件下における解析に過ぎなかった。 具体的には、部分的コヒーレント光源として平均強度およびコヒーレンス度がともにガウス分布のガウス型シェルモデル単色光源を考え、生成された光の場の平均強度分布に対してレンズ開口による影響を無視した場合の結果との2乗平均誤差を算出し、レンズ開口による影響を定量的に解析した。その結果、フーリエ変換の次数が0.1から1、光源の規格化空間的コヒーレンス長が0.1から10、光源のフレネル数が0.1から10の条件下において、レンズ開口径が光源サイズの2倍以上である場合、2乗平均誤差は0.01以下となり理想的な部分的コヒーレント光非整数次フーリ工場を実現できることを明らかにした。 この成果により、部分的コヒーレント光非整数次フーリエ場を利用した光情報処理システムおよび光生体計測システムにおける光学設計基準が初めて明らかにされた。今後は、本研究を通して得られた成果を踏まえ、部分的コヒーレント光非整数次フーリエ場を利用した具体的な光システムの構築を目指す。
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