本研究の第一段階の目的は、サイズ(直径数μm)の均一な微粒子を共振器に用いた色素レーザを、100-1000個空間的に密に配列させたレーザ発振器の開発である。 蛍光色素をドープしたポリスチレンの微粒子を空間的に配列させて、レーザ発振させる実験を行なった。微粒子は直径1.75μmでロ-ダミン系の色素(最大吸収波長530nm、最大発光波長590nm)が含まれているものを利用した。微粒子配列の条件は以前研究した色素ドープ無しのポリスチレン球のものとほぼ同じで問題無かった。色素の励起にはYAGレーザの2倍波(波長532nm)を利用した。レーザ光は〜10nsecのパルスで強度20mJ/pulseのものを利用した。現在の状況では微粒子からの蛍光は確認できるものの、レーザ発振には至っていない。ガラス基板上に直接1層目で付いている微粒子からの蛍光はほとんど観察できなかった。2層目以上からの微粒子の蛍光は確認できた。ポリスチレンの屈折率1.59に対してガラス基板の屈折率が大きいために光の閉じ込めの効果が小さい可能性も考え、パイレックスガラスの代わりに石英ガラス(屈折率1.46)も利用したが、この傾向は変わらなかった。 以上の結果から現在利用している微粒子径では配列した場合に互いに発光を消し合う条件になってしまったと考えられる。実際、配列がランダムな領域において蛍光がより強く観察された。1.75μmの直径はレーザ発振するモードが少なくなるように設定したものであるが、微粒子径をより大きくして条件をより緩くした微粒子を利用することを今後計画している。
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