配列した6角柱構造をSiマイクロマシニング技術を用いて製作した。Si(111)ウェーハ上に6角形の配列をパターニングし、ドライエッチングで基板にほぼ垂直なエッチングを施した。それだけでは、ドライエッチング時に壁面に刻まれてしまう1μm程度の細かい凹凸が残る。この細かい形状を結晶方位を利用した異方性エッチング(エチレンジアミン、ピロカテコール、水をエッチャントに使用)を短時間施すことで取り除いた。(110)面が(111)面の次にエッチング速度が遅く、残り易い性質を利用するため、予め各面が(110)面になるようにアライメントした。結果、面の粗さをほとんど無くすことができた。エッチング時間を長くするほど欠陥の少ない面にできるが、長すぎると(111)面が出てきてしまうためにちょうど良い時間がある。以上の方法で製作した6角形の穴を持つSiウェーハを鋳型にして、蛍光色素(ローダミン6G)とポリメタクリル酸メチルを一緒に溶かし込んだ有機溶液を乾燥させた。これを粘着シールと一緒に剥がすことで蛍光色素を固体化した6角形のレーザキャビテイを得た。 色素の励起にはYAGレーザの2倍波(波長532nm)を使用した。CCDカメラで観察しても赤く光っている様子が確認できた。昨年の微粒子(直径1.75μm)の結果と比べると輝度は格段に上がった。これは色素濃度を飽和値まで上げれたからでもある。発光スペクトルを測定すると、励起強度の増加と共に明かなピークが観察できた。励起光強度を更に上げると、シングルモードではなくマルチモードで発光した。マイクロキャビティのサイズの精度がまだ不十分であること、隣通しの相互作用が少ないこと等の原因が考えられる。Si鋳型の精度、特に壁面をより平面にするにつれてピークのQ値が改善されている。また、再現性が無いものの一瞬だけ強い発光ピークが得られることもある。このため、続けて研究を行うことを予定している。
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