光ファイバの非線形性を用いたスクイズド光の生成とその応用に関する研究

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09750056
• 研究機関: 名古屋大学
• 研究代表者: 西澤 典彦 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30273288)
• キーワード: スクイズド光 / 量子光学 / 光ファイバ / ビーム伝搬法 / 非線形光学効果 / 量子雑音 / 弾性散乱光

研究概要

1.非線形ファイバループミラーを用いたスクイズド光の生成実験
波長1.064μmのYAGレーザーと光ファイバの組み合わせを用いて、スクイズド光の安定な生成実験に取り組んだ。スクイズド光の生成系には任意の位相において時間的に安定な光の重ね合わせを得ることのできる新しい偏波分岐型のファイバループミラーを用いた。まず、新しい生成系の動作原理を実験によって確認し、この実験系がスクイズド光の生成に有効であることが確認できた。また、スクイズド光の抑圧された揺らぎをショット雑音レベルにまで低減することができた。
2.GAWBSの低減によるスクイズド光の観測
先の実験で、ファイバ中の微小な前方散乱光であるGAWBSによって、スクイズド光の生成・観測が妨げられることが分かってきた。そこで、次に我々は、ファイバーループミラーに用いる光ファイバの被覆を除去し、GAWBSのスペクトルを狭窄化することによって、スクイズド光の観測を試みた。その結果、32MHz近傍で、約2dBの雑音の低減を観測することに成功した。検出効率を考慮すると、今回の実験において約2.9dBのスクイズド光が生成できていることが分かった。ファイバループミラーの特性によって、スクイジングは時間的に安定に測定することができた。
3.ファイバループミラーを用いたスクイズド光の生成の数値解析
実験と並行して、ファイバループミラーを用いたスクイズド光の生成を、計算機シミュレーションによって、数値的に解析した。量子雑音の変化は、線形近似とビーム伝搬法を用いて計算した。まず、スクイズド光の生成における波長分散の影響を解析し、正常分散領域でもスクイジングが可能であることを明らかにした。次に、スクイズド光の生成におけるGAWBSの影響を解析し、パルス幅が短いほどGAWBSの影響を低減できることが明らかになった。

研究成果

• [文献書誌] N.Nishizawa et al.: "A Simulation of Pulsed Squeezing in Short Optical Fiber Loop Mirror" Quantum Communication, Computing, and Measurement. 521-529 (1997)
• [文献書誌] N.Nishizawa et al.: "Effect of Guided Acoustic Wave Brillouin Scattering on Pulsed Squeezing in Optical Fibers with Nonlinearity and Dispersion" OPTICAL REVIEW. Vol.4, No.4. 453-458 (1997)
• [文献書誌] N.Nishizawa et al.: "Analysis of Pulsed Squeezing in Optical Fibers with Guided Acoustic Wave Brillouin Scattering" Technical Digest of 2nd Optoelectronics and Communication Conference. 568-569 (1997)
• [文献書誌] M.Hashiura et al.: "Experiment of Quadrature Squeezed Light Generation and Detection with Phase Tunable PBS Fiber Loop Mirror" Technical Digest of 2nd Optoelectronics and Communication Conference. 672-673 (1997)
• [文献書誌] A.Rahwanto et al.: "Generation of Transform-Limited Pulse Train in New Scheme of Harmonically Mode-Locked Er-Doped Fiber Ring Lasers" OPTICAL REVIEW. Vol.5, No.1. 5-8 (1998)