光導波路グレーティングカップラの高機能化に関する研究

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09750058
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 裏 升吾 大阪大学, 工学部, 助手 (10193955)
• キーワード: 光導波路 / 光集積回路 / 高次回折 / グレーティングカップラ / 導波路グレーティング

研究概要

平成9年度はグレーティングカップラの高機能化の具体構成の提案、理論解析、素子設計および要素技術の開発を主眼とし、高性能化の手法として高次回折の利用を検討した。具体的にはスイッチング機能の付加および高屈折率導波路への応用を取上げた。
1.スイッチング機能付グレーティングカップラ
スイッチング機能を付加したグレーティングカップラの構成を検討した。基板上の薄膜導波路を伝搬してきた導波光はグレーティングカップラの1次回折により空間中に放射出力される。しかし、3次回折光が左方へ逆進する導波モードに結合する条件では、入射光パワーの大部分が逆進導波光に結合し、放射光パワーは小さくなる。電気光学効果や熱光学効果を用いて、屈折率をその結合条件付近で制御することで、カップラの出力結合特性を変化させることが期待できる。高分子材料の屈折率の温度依存性が非常に大きいことを利用して、この熱光学効果を利用するデバイスを設計した。
2.高次グレーティングカップラの高効率化
高屈折率導波路への集積化や短波長領域での使用には極短周期グレーティングが必要となる。そのような要求を緩和するために、より周期の長い高次回折グレーティングカップラを検討した。一般的に高次回折は効率が非常に低い。そこで、低次回折の抑圧による高効率化の理論解析を行ない、実現可能性を検討した。

研究成果

• [文献書誌] 〓 丘丹: "グレーティングカップラを用いた積層導波路間結合" 電子情報通信学会論文誌(C-I). J80-C-I. 461-468 (1997)
• [文献書誌] Q.Xing: "Contra-directional coupling between stacked waveguides using grating couplers" Optics Communications. 144. 180-182 (1997)
• [文献書誌] S.Ura: "A configuration for guided-wave excitation into a disposable integrated-optic head" Optics Communications(accepted).
• [文献書誌] S.Ura: "Integration of grating couplers in two-story waveguides for rotary displacement sensing" 2nd Optoelectronics&Communications Conf., Technical Digest. 38-39 (1997)
• [文献書誌] S.Ura: "A switching grating coupler by using diffraction transition into DBR regime" Pacific Rim Conf.on Lasers and Electro-Optics ｀97, Technical Digest. 300-300 (1997)
• [文献書誌] Q.Xing: "Contra-directional coupling between stacked waveguides using grating couplers" 2nd Optoelectronics&Communications Conf., Technical Digest. 644-645 (1997)