LiNbO3導波路レーザによる超短パルス光発生の可能性を理論的・実験的に検討し、実際に導波路パルスレーザを実現することと、その性能限界を明らかにすることを目的とする研究を行ない以下のような成果を得た。 1Q-sw導波路レーザのシミュレーションとそれに基づくデバイスの設計 導波路レーザをパルス発振させるために、共振器のQ値を制御した、いわゆる、Q-swレーザを検討した。Nd熱拡散LiNbO3基板上に作製したz軸伝搬導波路を用いて構成する導波路レーザ共振器内にもうけたTE/TMモード変換器に電圧を印加してQ-swを実現することを想定して、コンピュータを用いてレーザのレート方程式を解くことで、そのデバイス性能をシミュレーションした。その結果、数mWの光励起でパルス幅数ナノ秒、ピークパワー数Wが得られることが分かった。 2プロトタイプデバイスの設計・作製・評価。 シミュレーション結果に基づいてデバイスの設計・作製と評価を行なった。評価用の励起光源としてはチタンサファイヤレーザ、あるいは高出力の半導体レーザを用いた。集積化した導波型電気光学変調器を駆動することでQ-swパルス発生を実現できた。得られたパルスは幅20nsec、ピークパワー20mW程度であった。理論予測との相違の原因を検討した結果、電気光学TE/TMモード変換器による変換速度が遅いため、Q値の変化速度が制限されているためであることが分かった。
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