研究概要 |
本研究は,シリコンマイクロマシニング技術により微小な可動ミラー(0.6mm×0.3mm)を製作し,それを静電引力や電磁力によって駆動することで自由空間中で光ビームのスイッチングを行うものである.ミラーは細いサスペンション(幅16ミクロン,長さ300ミクロン,厚み0.3ミクロン)によってシリコン基板貫通孔の上部に保持されている.このミラーと対向電極との間に100V程度の直流電圧を印加すると,水平状態に会ったミラーが90°内部に回転し,1mm3程度の自由空間中を伝搬する光ビームを反射することができる.この構造を用いて小型の2×2光ファイバスイッチマトリクスやクロスコネクタ型光スイッチ等を実現している.これまでにスイッチング特性として,応答速度数ミリ秒以内,挿入損失-5dB以内,ファイバ間クロストーク-60dB以下,消光比60dB以上を得ている.また,これまでに4000万回の繰り返し試験の後でも機械的損傷が無いことを確認している. クロスコネクタとして用いる光ファイバスイッチに要求される特性として,スイッチング状態の自己保持機能があげられる.本研究ではミラー上に磁性薄膜(FeCoNi)をスパッタリング法によって堆積し,電磁石とソフト磁性体コアとの組み合わせによる電磁力駆動を用いてミラーを駆動し,スイッチング状態の自己保持化を実現した.また,光ファイバ間の結合効率を向上するために,シングルモードファイバの先端に直径1mmのレンズを融着した球レンズファイバや,加熱処理によってコア径を6ミクロンから12ミクロンに拡大したTECファイバを用いている.また,本研究の実験結果よりスケーリングを検討したところ,ミラーの寸法を更に小型化することによってスイッチングマトリクスのサイズを10×10以上に拡大できることを示した.
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