| 研究概要 |
ゴムなどの高分子材料などに代表される非/微圧縮性固体を精度よく解析するためには,混合変分原理に基づく,混合型有限要素法が不可欠であり,線形の範囲に限定すれば,混合型有限要素解の健全性を保証する条件として,inf-sup条件が知られているが,これまでの研究で,inf-sup条件を満たす要素でも大変形解析を行った際に,境界条件などによっては不合理な変位振動を起こすことが知られている.本研究の目的は,非線形解析,特に大変形解析を安定に信頼性高く行いうる能力の高い混合型有限要素を開発することにある.
本年度の研究では,線形の範囲に限定されたinf-sup条件の数値判定法を,代表的な非線形問題である超弾性体に拡張した数値判定法を開発した.また実際にいくつかの要素について評価も行い,特に前述の大変形解析を行った際に現れる不合理な変位振動は,inf-sup条件が満たされなくなるため発生しているのではないという結果を得ており,現在変位振動の発生メカニズムについて検討を行っている.ただし非線形問題は,初期変位項や初期応力項の影響があるため,この結果の検証にはさらに多くの境界条件での評価が必要である.また,変形経路に依存しない超弾性体以外に,変形経路に依存する弾塑性体でも検討を行う必要がある.
上記の研究と並行して,新たな要素を開発すると既存のポストプロセッサーでは適切な表示ができないため,ポストプロセッサーの開発も行った.この際に,データの可搬性を向上し,また遠隔地からもデータの閲覧が可能なように,近年WWWでの三次元データの提示手法として注目されるVRMLを用いている.
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