(1)走査型電子顕微鏡付き疲労試験機を用いた、室温ならびに高温疲労試験と疲労破壊過程のその場観察を行った。疲労荷重繰返し数の増加とともに、ヒステリシスループから計測した剛性が減少した。試験温度が高くなると、疲労寿命は低下した。 (2)室温疲労き裂発生・伝ぱの挙動を詳細に観察した。き裂発生は繊維バンドルの間の大きい空孔から起きた。き裂伝ぱ過程は、繊維とマトリックスの界面はく離とその後の界面すべりに伴うブリジング繊維の破壊と言う過程をとっていた。 (3)走査型電子顕微鏡により疲労破面を詳細に観察した。繊維引き抜き長さの測定によれば、室温より高温疲労の場合の方が繊維引き抜き長さが長かった。これは繊維とマトリックスの界面の摩擦応力が高温の方が低下するからである。 (4)来年度は高温疲労破壊過程のその場観察を継続し、特に高温での疲労損傷について重点的に検討する。SiC/SiC複合材の疲労破壊挙動を説明しうる疲労損傷モデルを提案する。また、本モデルに基ずく疲労寿命の推定を試みる。さらに、SiC/SiC複合材の信頼性向上のための材料設計指針について提案する。
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