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1997 年度 実績報告書

離散転位動力学法によるき裂先端近傍の欠陥分布と延性ぜい性遷移メカニズムの研究

研究課題

研究課題/領域番号 09750114
研究機関大阪大学

研究代表者

中谷 彰宏  大阪大学, 工学部, 助教授 (50252606)

キーワード離散転位動力学法 / 分子動力学法 / 転位 / き裂 / 応力拡大係数 / 破壊 / 延性ぜい性遷移 / 繰り返し荷重
研究概要

き裂先端近傍に形成される転位の分布構造とそれによる応力拡大係数の遮蔽による見かけの破壊じん性値の変化を調べ、さらに、延性ぜい性遷移といった破壊様式の変遷のメカニズムを解明することを目的として,離散転位動力学法(Discrete Dislocation Dynamics; DDD)によるシミュレーションを実施した結果,以下のような独創的知見を得た.
1.き裂を導入したモデルに対するシミュレーションの結果,転位分布によって応力拡大係数が遮蔽される場合と増幅される場合があることを明らかにした.さらに,混合モードが形成される可能性について示唆した.
2.転位の運動から塑性ひずみを評価する方法を提案し,シミュレーションに適用した.その結果を,結晶塑性論に基づく有限要素シミュレーション,および,分子動力学シミュレーションの結果と比較し,き裂先端近傍に形成される塑性域について定性的に良い一致が見られることを明らかにした.
3.繰り返し荷重を与える問題に適用した.その結果,転位の生成と消滅により,転位分布に動的なパターン形成が見られ,統計的定常状態がき裂先端場に実現されることが明らかになった.また,き裂先端のへき開応力が増大し,延性ぜい性遷移メカニズムの出現可能性を示唆する結果を得た.
これらの成果から,転位分布のダイナミクスによる延性ぜい性遷移メカニズムの解明に一歩近付いたと考えられる.引続く計画中の研究の展開によって,これらの現在未解決の問題に対して工学的に有益な成果をもたらすことが期待できる.

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] 中谷彰宏・北川 浩・中谷敬子: "分子動力学法による離散転位動力学のためのせん断応力と転位運動速度の関係式の導出" 材料. 46・6. 619-624 (1997)

  • [文献書誌] 中谷彰宏・北川 浩・中谷敬子: "分子動力学法によるbcc結晶中のモードII型き裂先端からの転位の発生と運動" 材料. 46・6. 625-630 (1997)

  • [文献書誌] 中谷彰宏: "離散転位動力学による結晶体の力学特性評価" 生産と技術. 49・3. 49-52 (1997)

  • [文献書誌] 中谷彰宏・杉崎 誠・北川 浩: "き裂先端近傍場の欠陥構造の離散転位動力学シミュレーション" 第41回日本学術会議材料研究連合講演会講演論文集. 5-6 (1997)

  • [文献書誌] 中谷彰宏: "結晶塑性におけるミクロとマクロ(離散転位動力学によるアプローチ)" 日本機械学会講演論文集(関西支部第73期定期総会講演会). (掲載予定). (1998)

  • [文献書誌] A.Nakatani, H.Kitagawa, & M.Sugizaki: "Discrete Dislocation Dynamics Study on Distribution of Dislocations and Stress Field near Crack Tip" Advances in Materials Research. (掲載予定). (1998)

  • [文献書誌] 北川 浩・北村隆行・渋谷陽二・中谷彰宏: "初心者のための分子動力学法" 養賢堂, 146 (1997)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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