研究概要 |
メゾ構造を「さらにミクロな基本構造を含む複合構造」と定義し,複合材料の中でも特に柔軟性や伸縮性に富む編物複合材料に注目し,その深絞り成形を実用に供するためのシミュレーション技法の開発に重点を置き研究を進めた.さらに,次年度に実施する検証試験のために,平編み強化材の試作を行った. まず,メゾ構造モデリングに関し,平編み構造の数値解析(有限要素)モデル化について検討を行った.単繊維の集合体である繊維束の平編み構造をメゾ構造と定義し,3次元ソリッド要素によるモデル化を行った.試作した平編み強化材のメゾ構造をスキャナでパソコンに取り込み,メゾ構造を決定し,平編みのピッチをパラメータとした半自動モデリングツールを開発した.あわせて編物複合材料構造体の階層的モデリング手法を提案した. 次に,深絞り成形シミュレーションをメゾ的知見に立って行う場合に問題となるメゾ構造の大変形(幾何学的非線形)を考慮したシミュレーション技法の開発に取り組んだ.特に,二軸応力・ひずみ下におけるメゾ構造の大変形を考慮したマクロ解析を,標準的なワークステーション上で効率的に行うための,高速シミュレーション技法とプログラムを構築した.メゾ-マクロの連成を完全に考慮した解析では膨大な計算時間を要することから,メゾ解析をまず行い,均質化された非線形材料データベースを作成した後,マクロ解析を行うという非連成化手法を提案した. 開発した高速シミュレーション技法とプログラムを用いて,発泡体の深絞り成形シミュレーションを行った.時々刻々変化する異方特性を考慮したシミュレーションが可能であることが確認された. 以上の研究成果は,学術講演会における発表を行い,論文を執筆し投稿中である.
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