研究概要 |
平成9年度は,パルスサーマルウェーブCT法において用いる逆問題データ解析手法の開発を行うとともに,パルスサーマルウェーブCT法による欠陥・損傷計測のための基礎的な実験装置を構築した.本年度に得られた成果の概要を以下に示す. (1)サーマルウェーブを発生させる方法として,出力が周期的に変動する放射加熱による正弦波状熱負荷およびXe管の断続発光によるパルス矩形波状熱負荷を検討し,それぞれの場合におけるサーマルウェーブ伝播性を数値解析的および実験的に検討した. (2)パルスサーマルウェーブCT法において,サーマルウェーブの伝播により変化する温度分布データから,損傷の形態,位置形状を同定する逆問題データ解析手法の開発を行った.逆問題解析手法として,非定常熱拡散問題に対する境界要素法を基礎にした残差最小化法の検討ならびに用いる最適化アルゴリズムの検討を行った. (3)上記の逆問題解析手法を用いて,サーマルウェーブの伝播により変化する温度分布データから,はく離欠陥の位置および形状を同定する数値シミュレーションを行った.その結果,サーマルウェーブ負荷条件下において計測された物体表面の温度振幅分布をもとに,はく離欠陥の位置および形状を精度良く同定することが可能であった.また,周期加熱の周波数を変化させることにより,欠陥の深さ同定に関する情報が表面の温度振幅分布に現われ,これが欠陥深さの高精度な同定に有用であることがわかった. (4)高速赤外線サーモグラフィ,Xe管およびハロゲンランプによるパルスサーマルウェーブ発生装置およびパーソナルコンピュータで構成されるパルスサーマルウェーブ実験措置を試作した.
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