NCシステムのオープン化の流れにおいて、加工システムの高度化、知能化は、重要な課題である。この知能化の達成のため、加工システム自身の認識が重要な課題となる。本研究では、加工システムとして工作機械をターゲットとし、工作機械の構造と動作をNCシステムへ与える方法を提案するために、以下の手順で研究を遂行し、以下の結論を得た。 1)知能型オープンNCのための必要機能の調査および工作機械機構モデルの構築 NCシステムの高度化に必要な機能としては、加工可能範囲の算出、加工の可否判断、ポストプロセッサ、加工シミュレーション、が考えられる。この機能を実現するため、工作機械機構モデルへの要件としては、稼動部分の表現、リンクサイズの表現、マルチループへの対応、があげられる。この要件を満たす工作機械機構モデルの基本数学モデルとして、S-Uパラメータによる機構モデルを採用した。 2)工作機械の機構モデルの情報モデル化とその計算機表現の実現 上述したS-Uパラメータによる機構モデルをもとに、ISO 10303で規格化されているEXPRESS言語を用い、情報モデルとして記述を行った。また、計算機言語C++への変換ツールにより計算機言語への変換を行い、シミュレーションシステム構築のための準備を行った。 3)実際の工作機械の構築パラメータの表現とその通信方法の確立 実際の3軸工作機械と5軸工作機械を対象に、工作機械のS-Uパラメータ値を求めた。また、この値をファイルとして保存し、ICカードに保存しパーソナルコンピュータ間で電送テストを行った。その結果、カードのデータ容量は、10M程度で十分であり、伝送速度も十分早いことより、実用上問題がないことがわかった。
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