平成10年度は、システム安定限界の解析、最適な加工誤差の収束条件の検討、平面研削システムの特性測定、ネガティブコンプライアシスによる加工実験を行い、本システム評価を行った。 研削システムおよびアクティブカセンサのコンプライアンスをそれぞれCs、Ca、また加工コンプライアンスをCmとする。Csは研削システムに固有であり、またCmは(切り込み量)/(研削力)で定義されるものとする。解析により、アクティブカセンサのコシプライアシスCaが-(Cs+Cm)<Ca<Cs+Cmの範囲にあるとき、この研削システムは安定なことがわかった。またCa=-Csとなるように設定すると、加工誤差がゼロに収束することがわかった。 平面研削システムの特性を測定したところ、研削システムおよび加工のコンプライアンスCs、Cmは、それぞれ0.257μm/N、2.8μm/Nであった。ただし加工コンプライアンスの測定条件は、カップ砥石は直径30mm、粗さ2000番を用い、回転数10000rpm、送り100mm/sとした。 アクティブカセンサを用いない場合、10μmの切り込み時の加工力は約4N、加工誤差は1.0μmであった。この加工誤差は、加工力による研削システムの変形により生じていると考えられる。そこでアクティブカセンサを用い、そのコンプライアンスCaをCa=-Cs=-0.257μm/Nに設定し、加工を行った。このコンプライアンスの値は、前述の安定動作条件を満たす。実験の結果、加工誤差を0.1μm以下に低減できていることが確認された。 以上のことから、アクティブカセンサを用いたネガティブコンプライアンスにより、加工力による工作機械の変形を補償でき、剛性無限大の力学加工システムが実現できることを確認した。
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