研究概要 |
本年度は主として,間欠型オイルミスト潤滑装置の製作と予備的な切削実験,ならびに工具摩耗への影響について検討してきた.間欠型オイルミスト潤滑装置としてオイル滴下の時間間隔を調整可能なミスト発生装置を開発し,それを既存の高速マシニングセンタに実装し,予備的な切削実験を行った.被削材として焼き入れ鋼SKD61(HRC50)をボールエンドミルで加工し,その際の摩耗状況について検討した.主軸回転速度25000min^<1->から40000min^<1->の実験の範囲では,潤滑剤を供給せず圧縮空気だけを供給した場合には,主軸回転速度が高速になるほどボールエンドミルの逃げ面摩耗の進行速度は低下する結果が得られた.間欠型オイルミスト潤滑を用いた際の結果は十分には得られていないが,圧縮空気だけの供給に比べ長い工具寿命となっている.その際の切削温度について,ファイバ式赤外線放射温度計での測定を試みているが,応答性,校正の点でさらに改善が必要であることが明らかになった. 本研究の第2の目的である高速切削における切削物理現象の有限要素法シミュレーションの開発に関しては,高速回転するエンドミル加工における断続的な切削点からの熱流入と,切りくず表面,工具表面から吐出エア-への熱伝達およびオイルミストの気化熱による冷却効果について開発中である. 今後は,実験的に間欠型オイルミスト潤滑の最適条件の探索を行うと共に,その解析的な評価を開発中のシミュレーションにより行っていく予定である.
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