研究概要 |
本研究は,マイクロ波プラズマCVD法により得られる気相合成ダイヤモンド板の炭酸ガスレーザ用レンズへの適用の可能性について検討するものである.ダイヤモンド板の合成条件および表面研磨法が高エネルギ密度の炭酸ガスレーザ光に対するダイヤモンド板の光透過性に与える影響について調べ,気相合成ダイヤモンドレンズが透過できる炭酸ガスレーザ光のエネルギ密度について明らかにすることを目的とした.本年度に得られた結果は以下のとおりである. 1.マイクロ波プラズマCVD法により高光透過性のダイヤモンド板を合成するための合成条件を検討し,最適な基板温度および原料ガス流量比(水素ガスの流量に対するメタンおよび酸素ガスの流量)を選定した.選定した合成条件でのダイヤモンド板の合成速度は約1〜2μm/hであった.そして,直径50mm,厚さ300μmのダイヤモンド板を合成した. 2.得られたダイヤモンド板の表面を,ダイヤモンド砥石を用いた機械的研磨法で平滑化し,厚さ150〜200μmのダイヤモンド窓を作製した.赤外分光分析により,このダイヤモンドの赤外光(波長約10μm)透過率は約70%であった.これは,従来の炭酸ガスレーザ用窓材であるZnSeとほぼ同等の値であることを確認した. 3.作製したダイヤモンド窓に最高2.0kW/cm^2の高エネルギ炭酸ガスレーザ光を30秒間照射した結果,損傷がなく光透過性に変化がないことを明らかにした.
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