シリコンウェーハ-を試験片として単結晶ダイヤモンド工具で加工する場合の加工状況に及ぼす雰囲気の影響を検討した。通常はこの様な機械加工は大気雰囲気中で行うが、種々のガスや液体の雰囲気内で加工すれば、それらが素材の界面活性エネルギーに影響し、結果として特異な加工特性が観察されるだろうとのアイデアに基づいて、本研究を提案した。ところが予備的な検討を行っていくうちに、その様な化学的な効果より静水圧の効果の方が顕著であることに気が付いた。またその様な装置の開発も無理なく行える見通しが立ったため、当初の計画を少し変更し、力学的な雰囲気の影響を検討することとした。 まず、高静水圧内で機械加工を行うための装置を開発した。本装置は5000気圧の静水圧環境下で試験片を引っかき加工を行うことができるものである。シリコンウェーハ-を試験片として、引っかき加工によって生じるスクラッチ割れを調べた。この結果、高静水圧を負荷することにより明らかにスクラッチ割れが減少することが判り、本加工法の有効性が確認された。
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