研究概要 |
延性モード加工に基づいた脆性材料の超精密加工において,加工表面全体にわたって高い信頼性を得るためには,加工中におけるマイクロクラックの発生を検出し,クラック深さを定量的に評価することによって,マイクロクラックの存在する加工表面層を完全に除去することが必要であり,マイクロクラックのインプロセス計測技術の開発が強く要求されている. 平成9年度は,マイクロクラックとレーザ後方散乱光強度分布の関係について電磁波散乱シミュレーション解析および基礎実験を行い,以下のような成果を得た. 1.計算機シミュレーション:ダイヤモンド圧子によるマイクロクラックのSEM観察に基づいた2次元マイクロクラックモデルによる電磁波散乱シミュレータを構築した.さらに,それを用いたシミュレーションによって,マイクロクラックと入射方向に散乱する後方散乱光の特性を調べ,深さ10μm以下のマイクロクラックでも,後方散乱光特性からマイクロクラックの深さを定量的に評価できる可能性があることを示した. 2.基礎実験装置の構築:Arレーザ(波長488nm,出力300mW)の集光レーザビームの入射角および偏光状態の調整および微弱な後方散乱光を高感度に検出できる検出光学系によって,後方散乱光散乱角度分布の高分解能な検出が可能な基礎実験装置を設計・構築した. 3.インデンテイションクラックによる基礎実験:光学ガラス表面を試料として,ダイヤモンド圧子によって深さ50〜100μm程度のインデンテイションクラック試料を作製した.またそれを用いて,マイクロクラック近傍にスポット径約1μmに集光したレーザ光を照射し,後方散乱光測定実験を行った.その結果,ブリュースタ角入射によってマイクラックから後方散乱光が発生すること,また深さ50〜100μmのマイクロクラックと後方散乱光散乱角の関係を明らかにした.
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