研究概要 |
本研究では,延性モード楕円振動切削という新たな加工方法によって,硬脆材料の新たな実用的超精密加工技術を開発することを目指している.本年度は,以下の研究を行った. 1.任意の楕円振動軌跡が得られる工具楕円振動システムの開発 すでに開発している超音波楕円振動工具では,2方向に同一周波数で位相差を持つ共振を励起して楕円振動を得ているが,2方向の振動の干渉が大きいため,所望の楕円軌跡を得ることが困難であった.そこで,振動子の断面形状を改善することによって干渉の少ない振動子を開発した.さらに,2方向の共振周波数の平均値を自動的に追尾し,所望の振幅と位相差を維持する制御装置を開発することにより,安定した楕円振動軌跡を得ることが可能になった. 2.延性モード楕円振動切削による溝加工実験 まず,楕円振動の軌跡を円振動とし,延性モード楕円振動切削による溝加工実験を試みている.現在,代表的硬脆材料としてガラスを例にとり,臨界切込み量,工具刃先形状の転写性など基礎的な特性を検討している.本実験では,比較のため振動を与えない普通切削と,従来の1方向の振動切削も行い,楕円振動切削の効果について検討を行っている.
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